経理・人事もまとめて外注|コーポレート部門のバックオフィスBPO

「経理の締めと給与計算が重なる月末は、管理部門がほかの仕事に手をつけられない」「担当者が一人しかおらず、休まれると業務が止まる」「本来は制度づくりや経営数値の分析に時間を使いたいのに、日々の処理で一日が終わる」
経理や人事などのコーポレート部門は、会社に欠かせない一方で、定型的な処理に多くの時間を取られがちです。その結果、社員が本来取り組むべき企画や改善の仕事に手が回らなくなります。
こうした状況を変える方法が、経理・人事・総務などのバックオフィス業務を部門単位でまとめて外注する「バックオフィスBPO(コーポレートBPO)」です。定型業務・ノンコア業務を外部に任せることで、社員は経営判断や制度設計といったコア業務に専念できるようになります。
この記事では、コーポレートBPOで任せられる業務を経理・人事給与・人事労務・総務の分野ごとに整理し、社会保険労務士や税理士など専門家に依頼する業務との違い、外注を進める手順までを解説します。
目次
バックオフィスBPO(コーポレートBPO)とは?部門を丸ごと外注する考え方
バックオフィスBPOの意味
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務の一部を切り出すのではなく、業務プロセス全体を外部の専門事業者に任せる外注の形です。
バックオフィスBPO(コーポレートBPO)は、このBPOを経理・人事・総務といったコーポレート部門の業務に適用したものです。請求書の発行だけ、給与データの入力だけといった単発の外注ではなく、部門の定型業務をまとめて任せる点に特徴があります。
業務単位の外注と部門単位の外注の違い
| 比較項目 | 業務単位の外注 | 部門単位の外注(コーポレートBPO) |
|---|---|---|
| 任せる範囲 | データ入力、請求書発行など一部の作業 | 経理・人事・総務の定型業務をまとめて |
| 社内に残る作業 | 外注先とのデータ受け渡し、前後の工程 | 判断・承認・企画などのコア業務 |
| 窓口 | 業務ごとに外注先が分かれやすい | 窓口をまとめやすい |
| 社員の負担軽減 | 部分的 | 部門全体で大きく減らせる |
| 向いているケース | 特定の作業だけ人手が足りない | 管理部門全体の業務量を見直したい |
業務単位の外注は手軽に始められる一方で、前後の工程が社内に残るため、データの受け渡しや確認の手間はなくなりません。部門単位でまとめて任せれば、こうした「つなぎの作業」も含めて外注先に移せるため、社員の手元に残る仕事を判断や企画に絞り込めます。
経理BPO・事務BPOとの関係
経理だけ、事務だけといった分野別のBPOについては、次の記事で詳しく解説しています。この記事では、それらを部門単位でまとめて外注するという視点で整理します。
▶関連記事:経理BPOとは?業務内容や依頼するメリット
▶関連記事:事務BPOとは?アウトソーシングとの違いやメリット・デメリット
バックオフィスBPO(コーポレートBPO)で任せられる業務
ここでは、コーポレート部門の業務を経理・人事給与・人事労務・総務の4つに分け、BPOで任せやすい定型業務を整理します。
経理
経理は、毎日・毎月のサイクルで同じ処理が繰り返される、BPOと相性のよい分野です。
- 請求書の発行・送付、受領した請求書の管理
- 入金の確認、売掛金の消込
- 支払データの作成、振込データの作成
- 経費精算・交通費精算・小口精算のチェックと入力
- 証憑の整理、会計ソフトへの仕訳入力
判断基準を事前に決めておけば、外注先が同じ手順で処理できる業務が中心です。入金と請求が一致しない場合の扱いなど、例外処理のルールを文書にしておくと、外注後もスムーズに運用できます。
人事給与
人事給与の分野では、毎月の給与支給に向けたデータの準備や入力が中心になります。
- 勤怠データの集計・チェック
- 給与計算に必要なデータの入力・確認
- 給与明細の発行・配布
- 雇用契約書や人事関連書類の入力・管理
- 従業員からの問い合わせの一次対応
給与に関わる業務は、締め日から支給日までの期間が短く、ミスが許されません。チェック体制を含めて外注先と手順をすり合わせておくことが大切です。なお、給与に関わる帳簿や書類の作成の一部は、次の章で解説する社会保険労務士の業務に関わる場合があります。どこまでを外注先に任せるかは、契約前に確認しておきましょう。
人事労務
人事労務では、入社・退社に伴う手続きの準備や、従業員情報の管理が主な業務です。
- 入社・退社時の書類の回収とチェック
- 従業員情報の登録・更新
- 社会保険・労働保険の手続きに必要な情報の収集と整理
- 年末調整に必要な書類の回収と不備の確認
- 勤怠や休暇の管理データの整備
ここで注意したいのが、社会保険・労働保険の手続き書類の作成や、行政機関への提出代行は、社会保険労務士の業務にあたる点です。BPOでは、手続きの前段階となる書類の回収や情報の整理を任せ、手続きそのものは社会保険労務士に依頼する形が一般的です。
総務
総務の業務は幅が広いものの、その多くは定型的な事務処理です。
- 郵便物の受付・仕分け・発送
- 書類の電子化(スキャン)とファイル管理
- 備品・消耗品の発注と在庫管理
- 社内問い合わせ窓口(ヘルプデスク)の対応
- 各種申請書類や社内文書の作成補助
総務は「ほかの部署が対応しない仕事」が集まりやすく、業務の全体像が見えにくい分野です。外注を機に業務を棚卸しすることで、不要な業務を減らすきっかけにもなります。
BPOで任せられる定型業務と専門家に依頼する業務
コーポレート部門を「丸ごと外注」するといっても、すべての業務をBPO事業者に任せられるわけではありません。法律上、資格を持つ専門家しか行えない業務があるためです。
BPOで任せる業務と専門家に依頼する業務の分け方
| 区分 | 主な業務 | 依頼先 |
|---|---|---|
| BPOで任せられる定型業務 | 請求書発行、入金確認、経費精算のチェック、勤怠データの集計、書類の回収・整理、データ入力、問い合わせ対応 | BPO事業者 |
| 社会保険労務士の業務 | 社会保険・労働保険の手続き書類の作成、行政機関への提出代行、法令に基づく帳簿書類の作成 | 社会保険労務士 |
| 税理士の業務 | 税務申告書の作成、税務代理、税務相談 | 税理士 |
社会保険労務士に依頼する業務
社会保険労務士法では、社会保険労務士でない者が、報酬を得て、社会保険・労働保険に関する申請書類の作成や提出代行、法令に基づく帳簿書類の作成などを業として行うことを制限しています。そのため、BPO事業者に依頼できるのは、手続きに必要な書類の回収や情報の整理といった前段階の作業までとなります。
税理士に依頼する業務
税理士法では、税理士でない者が税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うことを制限しています。決算に向けた日々の記帳や証憑の整理はBPOで任せ、税務申告や税務の判断は税理士に依頼する形が基本です。
BPOと専門家を組み合わせて「部門を丸ごと」任せる
実務では、BPO事業者が定型業務を担い、社会保険労務士や税理士が専門業務を担う形で役割を分けると、部門全体の業務を社外に移せます。BPO事業者の中には、提携する専門家と組み合わせた体制を提案できるところもあります。
どの業務をBPO事業者に、どの業務を専門家に任せるかを最初に整理しておくことが、部門単位の外注を成功させるポイントです。
定型業務・ノンコア業務を外注してコア業務に専念
コア業務とノンコア業務の分け方
コア業務とは、会社の利益や競争力に直接つながる業務のことです。一方のノンコア業務は、会社の運営に必要ではあるものの、手順が決まっていて誰が行っても成果が変わりにくい業務を指します。
| 部門 | コア業務(社内に残す) | ノンコア業務(外注しやすい) |
|---|---|---|
| 経理 | 予算策定、経営数値の分析、資金繰りの判断 | 請求書発行、入金確認、経費精算のチェック |
| 人事 | 採用戦略、評価制度・人材育成の設計 | 勤怠集計、書類の回収・入力、問い合わせ対応 |
| 総務 | 社内制度の企画、働く環境の改善 | 郵便物対応、書類の電子化、備品管理 |
定型業務・ノンコア業務を外部に任せれば、社員はこの表の中央の列にあるコア業務に時間を使えるようになります。
部門単位で外注するメリット
社員がコア業務に専念できる
日々の処理から手が離れることで、経営数値の分析や制度の見直しなど、会社の成長につながる仕事に時間を割けるようになります。
人手不足や担当者の退職に左右されにくくなる
経理や人事労務は専門知識が必要なため、欠員が出たときに代わりの人材をすぐに確保するのは簡単ではありません。外注していれば、担当者の退職や休職があっても業務を止めずに済みます。
業務の属人化を解消できる
外注にあたっては業務手順を文書にまとめるため、「あの人しかわからない」業務がなくなります。部門の業務が見える化されることで、改善点も見つけやすくなります。
繁忙期の業務量に対応しやすくなる
月末・月初の締め処理や年末調整、新年度の入社手続きなど、コーポレート部門には業務が集中する時期があります。外注先の体制で繁閑の波を吸収できれば、繁忙期のための人員を社内で抱える必要がなくなります。
チェック体制を整えやすくなる
作業者とは別の担当者が確認する仕組みを持つ外注先であれば、社内の少人数体制よりもミスに気づきやすくなります。
部門を丸ごと外注するときの注意点
判断と承認は社内に残す
支払いの承認、人事評価、採用の可否など、会社として責任を持って判断すべき業務は外注できません。外注先には「決まったルールに沿って処理する業務」を任せ、判断と承認は社内に残すという線引きを最初に決めておきましょう。
情報管理の体制を確認する
経理や人事の業務では、取引先との取引条件や、従業員の給与・住所・家族構成といった機密性の高い情報を扱います。外注先を選ぶ際は、プライバシーマークの取得状況やISMS認証の取得状況、作業場所の入退室管理、データへのアクセス権限の管理方法などを確認しておくと安心です。
社内にノウハウを残す仕組みをつくる
部門の業務を丸ごと任せると、社内で業務の流れを把握している人がいなくなるおそれがあります。業務マニュアルを社内でも保管し、処理件数や例外対応の内容を定期的に報告してもらうことで、業務の状況を把握し続けられるようにしましょう。
移行期間を十分に確保する
部門単位の外注は、業務単位の外注よりも引き継ぐ範囲が広くなります。決算期や年末調整の時期を避けて移行を始め、一部の業務から段階的に切り替えると、混乱を抑えられます。
バックオフィスBPOを進める手順
ステップ1:業務の棚卸し
経理・人事・総務の業務を一覧にし、担当者、頻度、作業時間、使用しているシステムを洗い出します。
ステップ2:コア業務とノンコア業務の仕分け
社内に残す判断・企画の業務と、外注できる定型業務を分けます。
ステップ3:専門家に依頼する業務の切り分け
社会保険労務士や税理士に依頼する業務を確認し、BPO事業者に任せる範囲と分けて整理します。
ステップ4:外注先の選定・相談
対応できる業務の範囲、情報管理の体制、専門家との連携の可否などを確認し、外注先に相談します。
ステップ5:業務手順の文書化と引き継ぎ
業務フロー、判断基準、例外処理のルールを外注先とすり合わせ、マニュアルにまとめます。
ステップ6:段階的な移行と定期的な見直し
一部の業務から運用を始め、問題点を改善しながら範囲を広げます。運用開始後も定期報告をもとに業務を見直します。
バックオフィスBPOならグロップ
株式会社グロップは、1975年10月13日に設立し、岡山県岡山市に本社を置く総合アウトソーサーです。年間4,000件以上のアウトソーシング案件に対応しています。
経理の分野では、入金処理、支払業務、小口精算、請求書管理、交通費精算などに対応しています。入金用データの作成から全銀データの作成まで、1か月で約1,000件に対応した実績もあります。
人事の分野では、従業員の雇用契約書や勤怠の入力代行の実績があります。総務・事務の分野では、データ入力、書類の電子化、事務局の運営、文書作成、ヘルプデスクなどに対応しています。
社会保険労務士などの資格が必要な業務には社内で対応できないものもありますが、提携先を活用したご提案が可能です。また、プライバシーマークを取得しており、経理・人事の機密性の高い情報を扱う業務も安心してお任せいただける体制を整えています。
「どの業務から外注できるか分からない」という段階でも、業務の棚卸しからご相談いただけます。
よくある質問
経理と人事を同じ外注先にまとめて依頼できますか?
経理と人事の両方の定型業務に対応している外注先であれば、まとめて依頼できます。窓口を一本化できるため、業務ごとに外注先を探す手間や、外注先同士の調整の手間を減らせます。
給与計算や社会保険の手続きもすべて任せられますか?
社会保険・労働保険の手続き書類の作成や提出代行は、社会保険労務士の業務です。BPO事業者には、勤怠データの集計や書類の回収・整理など、手続きの前段階の作業を任せる形になります。給与に関わる業務のどこまでを外注先に任せられるかは、契約前に確認しておきましょう。
一部の業務だけ先に外注することはできますか?
可能です。請求書発行や経費精算のチェックなど、手順が決まっている業務から始め、運用が安定してから範囲を広げる進め方もおすすめです。
自社で使っている会計ソフトや勤怠システムはそのまま使えますか?
外注先が対応していれば、現在のシステムを使ったまま運用できる場合があります。システムの利用方法やアクセス権限の設定は、外注先の選定段階で確認しておきましょう。
この記事のまとめ
バックオフィスBPO(コーポレートBPO)は、経理・人事給与・人事労務・総務の定型業務を部門単位でまとめて外注する方法です。業務単位の外注と比べて、データの受け渡しや確認といった「つなぎの作業」まで外部に移せるため、社員の負担を大きく減らせます。
ただし、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士、税務申告は税理士の業務です。BPO事業者に任せる定型業務と、専門家に依頼する業務を最初に整理しておくことが大切です。
定型業務・ノンコア業務を外部に任せることで、社員は経営数値の分析や制度設計など、会社の成長につながるコア業務に専念できるようになります。管理部門の業務量に課題を感じている場合は、部門単位での外注を検討してみてください。