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アノテーションの外注とは?画像・動画の作業内容と依頼先の選び方

アノテーションの外注とは?画像・動画の作業内容と依頼先の選び方

AIで外観検査を自動化したい。棚の画像から商品を判別したい。作業動画から手順の逸脱を検知したい。こうしたAI活用を進めようとすると、必ず突き当たるのが学習用データの準備です。

AIに何かを見分けさせるには、「これは傷」「これは商品」と人が印をつけたデータが大量に必要になります。この作業がアノテーションです。数千枚、数万枚という単位になることも珍しくなく、社員が本業の合間に進められる量ではありません。

この記事では、画像・動画のアノテーションで具体的に何をするのかを整理します。そのうえで、外注できる範囲、内製の課題、外注のメリットと注意点、依頼先の選び方を解説します。テキストや音声のアノテーションもありますが、本記事では画像と動画に絞って扱います。

アノテーションとは?外注が必要になる理由

アノテーションとは、画像や動画などのデータに対して、AIが学習できる形で意味づけの情報(タグやラベル)を付ける作業です。付けられた情報とデータの組み合わせを「教師データ」と呼び、これをもとにAIは判断の仕方を学びます。

たとえば、製品の傷を検出するAIをつくるなら、傷のある製品画像を集め、傷の位置を一つひとつ囲んで「傷」と記録します。この作業を大量の画像に対して行い、AIに「傷とはこういうものだ」と教えます。

AIの精度は教師データの質で決まる

AIの性能は、モデルの設計だけでなく、学習に使ったデータの質に大きく左右されます。囲む範囲が作業者ごとにばらついていたり、判断基準があいまいなまま作業が進んだりすると、AIはぶれた基準を学習してしまいます。

つまり、アノテーションは見た目ほど単純な作業ではなく、基準を決めて、その基準どおりに大量の作業を正確に繰り返すという性質の業務です。この「正確に、大量に」という部分が、外注の需要が生まれる理由です。

外注を検討する企業のタイプ

アノテーションの外注を検討する企業は、大きく2つに分かれます。

タイプ具体例主な目的
AIを導入する事業会社製造業(外観検査)、小売(棚割分析)、建設(現場の安全管理)、物流(荷姿の判別)自社データでAIをつくりたいが、作業に充てる人手がない
AI開発企業・研究開発部門AIベンダー、大学・研究機関、社内の開発部門モデル開発に集中し、データ作成の工程を切り出したい

前者は、アノテーションそのものが初めてというケースも多く、仕様の整理から相談できる委託先が向いています。後者は、作業量の変動への対応力や、指定ツールへの対応可否が重視されます。

画像・動画アノテーションの主な作業内容

画像分類(クラシフィケーション)

画像1枚ごとに、あらかじめ決めたカテゴリのどれに当たるかを判定してラベルを付けます。「良品/不良品」「商品カテゴリA/B/C」といった分け方です。作業自体は単純ですが、判断に迷う画像をどう扱うかを決めておかないと、基準がぶれやすくなります。

物体検出(バウンディングボックス)

画像の中にある対象を四角形で囲み、その中身が何かをラベル付けします。画像アノテーションの中で最も多く使われる手法です。

作業のポイントは、囲む範囲の一貫性です。対象が一部隠れている場合に見えている部分だけを囲むのか、隠れた部分も推定して囲むのか。複数の対象が重なっている場合はどうするのか。こうしたルールを事前に定めることが、品質を左右します。

セグメンテーション(領域の塗り分け)

四角ではなく、対象の輪郭に沿ってピクセル単位で領域を塗り分けます。物体検出より正確な形状をAIに教えられますが、作業時間は大幅に増えます。

製品表面の傷の形状、道路の走行可能領域、農作物の生育範囲など、形そのものが重要な用途で使われます。

キーポイント(点の指定)

対象の特定の位置に点を打ちます。人の関節、顔のパーツ、製品の取り付け位置などが対象です。姿勢の推定や動作の解析に使われます。

動画アノテーション(トラッキング)

動画では、連続するフレーム(コマ)に対して作業を行います。同じ対象がフレームをまたいで移動するため、「1フレーム目のこの人物と、10フレーム目のこの人物は同一である」という追跡の情報を付けることが特徴です。

動画は1秒で数十フレームになるため、1本の動画から膨大な作業が発生します。全フレームを対象とするのか、一定間隔で抜き出すのかによって、作業量も費用も大きく変わります。

作業手法ごとの比較

手法作業内容主な用途作業負荷
画像分類画像単位でラベル付け良品・不良品の判定、カテゴリ分け小
物体検出四角形で囲んでラベル付け対象の位置と種類の検出中
セグメンテーション輪郭に沿って領域を塗る形状が重要な検出、領域の把握大
キーポイント特定の位置に点を打つ姿勢推定、動作解析中
動画トラッキングフレーム間で対象を追跡動線分析、行動の検知大

どの手法を使うかは、つくりたいAIの用途によって決まります。委託先に相談する際は、「何を判別させたいのか」を先に伝えると、適した手法を提案してもらいやすくなります。

アノテーションの外注で任せられる範囲

仕様の整理・アノテーション定義の作成支援

「どこまでを傷とするか」「対象が半分隠れていたらどう扱うか」といった判断基準を、作業手順書(アノテーション定義書)に落とし込む工程です。この作業を委託先と一緒に進められるかどうかで、その後の品質が大きく変わります。

アノテーション作業の実施

定義書に沿って、実際の作業を行います。作業者への教育、進捗の管理、日々の質問対応もここに含まれます。

品質管理(検品・ダブルチェック)

作業結果を別の担当者が確認し、定義から外れたものを修正します。全件を確認するのか、一定の割合を抜き取るのかは、求める品質と費用のバランスで決めます。精度の目標値を設定し、達成状況を報告してもらう形もあります。

ツールの選定・環境の準備

アノテーションには専用のツールを使います。委託元が指定するツールを使う場合もあれば、委託先が用意するツールを使う場合もあります。

無償で使えるツール、有償のクラウドサービス、自社開発のツールなど選択肢は幅広く、手法(物体検出かセグメンテーションか)、データ量、複数人での作業管理の要否、出力形式によって適したものが変わります。ツールの選定から相談できる委託先であれば、初めての場合でも進めやすくなります。

データの受け渡しと納品

対象データの受領、作業後のデータの納品を行います。納品形式(COCO形式、YOLO形式、Pascal VOC形式など)は、学習に使うフレームワークに合わせて指定します。形式の指定を後から変えると手戻りが発生するため、開始前に確定させておきましょう。

アノテーションを内製するときの4つの課題

作業量が本業を圧迫する

必要なデータ量は、用途によって数千枚から数万枚に及びます。1枚あたり数十秒の作業でも、1万枚なら数百時間です。エンジニアや現場社員が本業の合間に進めれば、開発そのものが止まります。

判断基準がぶれる

複数人で作業すると、囲む範囲や判断の線引きにばらつきが出ます。作業を進めるうちに基準が変わっていくこともあります。ばらついたデータで学習したAIは、期待した精度に届きません。

作業量の波に体制を合わせられない

データ作成は、プロジェクトの初期に集中して発生し、その後は追加学習のたびに断続的に生じます。この波に合わせて社内の人員を増減させることは困難です。

品質を客観的に測れない

内製では、作業した本人が確認を兼ねることになりがちです。第三者の目が入らないと、定義の解釈違いに気づけません。AIの精度が出なかったときに、モデルの問題かデータの問題かの切り分けも難しくなります。

アノテーションを外注する5つのメリット

1. 作業量に合わせて体制を組める

委託先は、案件の規模に応じて作業者の人数を調整できます。初期の大量作成と、その後の追加分とで体制を変えることも可能です。委託元は、一時的な作業のために採用や教育を行う必要がなくなります。

2. 判断基準が文書化され、品質が安定する

委託にあたって定義書を作成する過程で、それまで感覚的だった判断基準が明文化されます。この定義書は、社内で追加作業を行う際にも、別の委託先に依頼する際にも使える資産になります。

3. 検品の仕組みで精度を担保できる

作業者とは別の担当者が確認する体制をとることで、見落としや解釈違いを抑えられます。精度の目標値を設定し、達成状況の報告を受ける運用にすれば、データ品質を客観的に把握できます。

4. エンジニアがモデル開発に集中できる

データ作成に取られていた時間を、モデルの設計や評価、業務への組み込みに振り向けられます。AI開発全体のスピードが上がります。

5. 費用とセキュリティのバランスを選べる

作業場所をどこにするかによって、費用とセキュリティ水準は変わります。在宅や海外拠点を活用すればコストを抑えられ、管理された施設内で作業すれば情報管理の水準を高められます。扱うデータの機密性に応じて選べる委託先であれば、案件ごとに最適な体制を組めます。

外注する際の4つの注意点

定義書を先に固める

作業を始めてから定義を変えると、それまでの作業をやり直すことになります。判断に迷いやすいケースを事前に洗い出し、具体例つきで定義書にまとめましょう。

少量のテスト作業から始める

いきなり全量を依頼せず、まず数十枚から数百枚で試作します。納品物を確認し、定義の解釈にずれがないか、納品形式が学習に使えるかを検証してから本番に進みます。この工程を省くと、大量の手戻りが発生します。

データの取り扱い条件を明確にする

対象データには、人物が写った映像、工場内部の画像、製品の設計に関わる情報などが含まれることがあります。データの受け渡し方法、保管場所、作業終了後の削除、再委託の可否を、契約時に明確にしましょう。

精度の目標値と測り方を決める

「精度95%以上」といった目標を設定する場合、何をもって正解とするかの基準も決める必要があります。囲む範囲がどれだけずれたら誤りとするのか。この測り方を委託先と共有しておかないと、納品後に認識の食い違いが生じます。

失敗しない依頼先の選び方

扱うデータの機密性に応じた作業体制を選べるか

公開データや機密性の低い画像であれば、在宅や海外拠点を活用してコストを抑える選択肢があります。一方、人物が特定できる映像や社外に出せない製品画像であれば、入退室管理のある施設内での作業が必要です。

どちらか一方しか対応できない委託先だと、案件ごとに依頼先を変えることになります。データの性質に応じて体制を組み替えられるかは、重要な確認ポイントです。

品質管理の仕組みが具体的か

「ダブルチェックしています」という説明だけでなく、誰がどの割合で確認するのか、精度をどう測るのか、基準を下回った場合にどう対応するのかまで確認しましょう。品質の報告を定期的に受けられるかも重要です。

対象の領域に近い実績があるか

判断基準の難しさは、対象によって大きく異なります。製造業の外観検査、屋外の映像、医療画像など、それぞれに固有の勘所があります。まったく同じ領域でなくとも、近い性質の実績があれば、定義の詰め方で頼りになります。

作業量の変動に対応できるか

初期の大量作成と、その後の追加分では必要な体制が違います。増減の両方に対応できるか、また急ぎの依頼にどこまで応じられるかを確認しておきましょう。

指定のツールと納品形式に対応できるか

使いたいツールがある場合は、対応可否を確認します。納品形式についても、学習に使うフレームワークに合わせた形で出力できるかを、事前に確かめておきましょう。

依頼するまでの流れ

1. つくりたいAIと必要なデータを整理する

何を判別させたいのか、そのためにどの手法が必要かを整理します。手元にあるデータの量と、追加で必要になりそうな量も見積もっておきます。

2. 委託先に相談し、手法と見積もりの提案を受ける

用途とデータの性質を伝え、手法、体制、費用の提案を受けます。費用は作業の手法、1件あたりの対象数、品質要件によって大きく変わるため、サンプルデータを見てもらうと精度の高い見積もりが得られます。

3. 定義書を作成する

判断基準を文書にまとめます。迷いやすいケースは、実際の画像を使った具体例を添えると解釈のずれを防げます。

4. テスト作業で認識をすり合わせる

少量のデータで試作し、納品物を確認します。定義の解釈違いがあれば、この段階で定義書を修正します。

5. 本番作業と定期的な品質確認

本作業を進めながら、定期的に納品物を確認します。精度の報告を受け、必要に応じて定義を追記していきます。

6. 学習結果を踏まえて追加・修正する

作成したデータで学習させ、精度が出ない部分があれば、その傾向を分析します。特定のパターンのデータが不足していれば追加作成を依頼するなど、改善を繰り返します。

依頼前に準備しておきたい資料

資料主な用途
つくりたいAIの用途・判別させたい対象適した手法を選定する
サンプルデータ(数十枚程度)作業難易度を判断し、見積もりの精度を上げる
判断基準のたたき台・判断に迷う事例定義書の作成を効率化する
必要なデータ量と納期体制とスケジュールを計画する
納品形式・使用するフレームワーク出力形式を確定させる
データの機密区分・取り扱い条件作業場所とセキュリティ体制を決める

すべてがそろっていなくても、委託先と相談しながら整理していく進め方もあります。特に判断基準は、実際の画像を見ながら詰めたほうが早いことも多いため、サンプルデータを用意して相談するのが効率的です。

アノテーションの外注ならグロップ

株式会社グロップは、1975年の設立以来、さまざまな業務の受託を手がけてきたBPO事業者です。年間4,000件以上のアウトソーシング案件に対応しており、東日本・西日本のBPOセンターで業務を行っています。

アノテーション業務では、自動運転に関わる画像アノテーションをはじめとした実績があります。対象や手法の異なるさまざまなご依頼に対応してまいりましたので、初めて外注される場合でも、仕様の整理段階からご相談いただけます。

グロップの特長は、扱うデータの性質に合わせて作業体制を選べることです。コストを優先したい案件では、在宅の作業者や海外パートナーを活用した体制をご提案します。一方、機密性の高いデータを扱う案件では、BPOセンター内での作業に対応します。個人情報を含む業務を数多く受託しており、全センターにセキュリティ機能を備えています。同じ委託先の中で使い分けられるため、案件ごとに依頼先を変える必要がありません。

個人情報の取扱いについては、プライバシーマークを取得し、適切な管理体制のもとで業務を行っています。「まずは少量で試したい」「必要なデータ量の見当がつかない」といった段階でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

アノテーションはどれくらいのデータ量が必要ですか?

つくりたいAIの用途と求める精度によって大きく異なります。まずは少量で試作し、精度を確認しながら追加していく進め方が現実的です。

費用はどのように決まりますか?

作業の手法(分類か、物体検出か、セグメンテーションか)、1枚あたりの対象数、求める品質水準、データ量によって決まります。サンプルデータをもとに見積もりを依頼すると、実態に近い金額が得られます。

判断基準がまだ固まっていなくても相談できますか?

相談できます。むしろ、サンプルデータを見ながら委託先と一緒に定義を詰めていくほうが、実務に即した基準をつくれます。

機密性の高いデータでも依頼できますか?

委託先の作業体制によります。管理された施設内での作業に対応しているか、再委託の有無、データの保管と削除の方法を確認しましょう。

動画のアノテーションは画像より費用が高くなりますか?

一般的に高くなります。動画は多数のフレームで構成され、フレーム間で対象を追跡する作業も加わるためです。全フレームを対象とするか、一定間隔で抜き出すかによって作業量が変わります。

アノテーションツールは自分たちで用意する必要がありますか?

委託先によって異なります。委託先のツールを使う場合もあれば、委託元の指定ツールで作業する場合もあります。使いたいツールがある場合は、事前に対応可否を確認しましょう。

この記事のまとめ

アノテーションの外注では、画像分類、物体検出、セグメンテーション、キーポイント、動画トラッキングといった作業に加え、定義書の作成支援、品質管理、ツールの選定まで任せられます。作業量による本業の圧迫、判断基準のぶれ、品質の客観的な評価といった内製の課題は、外注によって解消しやすくなります。

依頼する際は、定義書を先に固め、少量のテスト作業から始めることが重要です。データの機密性に応じた作業体制を選べるか、品質管理の仕組みが具体的か、作業量の変動に対応できるかを軸に依頼先を選び、AI開発を前に進める体制をつくりましょう。

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