【セミナーレポート】明日から変えられる現場での事故事例ウェビナー_2026年6月開催

株式会社グロップが毎月開催している「明日から変えられる現場での事故事例ウェビナー」のセミナーレポートです。
今回は2026年5月に発生した事故事例の中から、現場の安全衛生管理に活かせる5件をピックアップしてご紹介します。再発防止のポイントとあわせて、自社の現場改善のヒントにお役立てください。
目次
今月の事故発生傾向|災害発生件数 14件
2026年5月は、以下のような傾向が確認されました。
- 14件の業務災害が発生。今期初の1桁となった4月(9件)から、再び2桁に増加した
- 事故の型別では「動作の反動・無理な動作」が7件(50.00%)と最多で、筋肉の炎症などが全体の約半数を占めた。続いて「挟まれ・巻き込まれ」「切れ・こすれ」が各2件発生
- 業種別では製造業で全体の約7割を占めた(食品35.71%・食品以外35.71%)
- 就業期間別では1年以上の経験者が50.00%、世代別では20代・40代・50代が各21.43%と最多
動作の反動・無理な動作による事故が半数を占める一方、休業0日ながら骨折に至っている事例や、タグアウト・ロックアウト未実施による機械由来の挟まれ事故、誘導者未配置によるフォークリフトの人身事故も発生しました。いずれも法令で定められた安全対策が徹底されていれば防ぐことができた事故です。安全対策の実施有無について、今一度ご確認をお願いいたします。
事故事例①|躓き・転倒(かごの凹凸に足をひっかけて転倒・指骨折)

事故概要
輸送機械器具製造業において発生した事故です。
かごから製品を取り出して機械に投入する業務を行っていた際、足がかごの凹凸に引っかかってしまい、製品を持ったまま後ろの機械設備に指を突くような形で負傷しました。傷病部位は左中指で、指先の骨折に至っています。
背景には、かごの設置場所にルールが無く、いつもよりも近い位置に置かれていたことがあります。
事故のポイント
かごの位置決めルールを定めることで、足元への引っかかりを防ぐ
足元への注意喚起を行うことで再発を防止する
事故事例②|挟まれ・巻き込まれ(台車の転倒で指を挟み骨折)

事故概要
食料品、飲料、たばこ、飼料製造業において発生した事故です。
製造開始の準備中、小麦粉(10kg/袋)を台車に15袋程度載せて運搬していたところ、排水溝付近の段差に車輪が引っ掛かり台車が転倒しました。その際、とっさに手を離さず、台車のハンドル(取っ手)部分と床の間に左手指先部分を挟んでしまい、左手の中指先端に挫創および剥離骨折を負いました。
背景には、積載量がルール違反(本来の積載ルールから5袋多い状態)であったことがあります。日頃からの過積載に関する危険性が認識されていませんでした。
事故のポイント
高さ制限の可視化により、過積載を防止する
日頃からの過積載に関する危険性の周知・教育を行う
事故事例③|挟まれ・巻き込まれ(メンテナンス中に他者が機械を始動し指を挟む)

事故概要
サービス業において発生した事故です。
定形外封入機(ビニール封緘機)の調整作業中、別の作業者が寸動ボタンで機械を動かしてしまったことにより、右手中指を挟まれ負傷しました。傷病は右手中指の裂傷(4針縫合)です。
本来のルールである連携スイッチのオフ(ロックアウト)に加え、タグアウト(メンテナンス中であることの可視化)も併せて実施されていれば防ぐことができた事故です。手順書はあるものの、安全面に関する急所は記載されておらず、他事業所での事故事例の周知もありませんでした。
事故のポイント
連携スイッチのオフ(ロックアウト)に加え、タグアウト(メンテナンス中の可視化)を併せて実施する
手順書に安全面に関する急所を記載する
他事業所での事故事例の周知を行う
【特集】清掃・メンテナンス中の挟まれ・巻き込まれ事故を防ぐために(関連法令)
清掃やメンテナンス中の挟まれ・巻き込まれ事故を防ぐため、労働安全衛生法および安全衛生規則では以下のように定められています。
労働安全衛生法 第20条
事業者は、機械、器具その他の設備による危険、爆発性・発火性・引火性の物等による危険、電気・熱その他のエネルギーによる危険を防止するため、必要な措置を講じなければならないと定められています。
安全衛生規則 第107条(掃除等の場合の運転停止等)
事業者は、機械(刃部を除く)の掃除、給油、検査、修理または調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければなりません。さらに、運転を停止したときは、起動装置に錠を掛ける・表示板を取り付けるなど、作業に従事する労働者以外の者が機械を運転することを防止する措置を講じなければなりません。
安全衛生規則 第108条(刃部の掃除等の場合の運転停止等)
事業者は、機械の刃部の掃除、検査、修理、取替えまたは調整の作業を行うときは、機械の運転を停止しなければなりません。こちらも同様に、運転停止時には起動装置への施錠・表示板の取り付け等の措置が求められます。
今回の事故は、まさにこのロックアウト・タグアウトの徹底によって防ぐことができた事例といえます。
事故事例④|フォークリフト関連事故(ながら運転によるセンサー破損)

事故概要
運輸業において発生した事故です。
目視で荷物を確認しやすいように、爪の位置を運転席から見て右に寄せて設定していました。発進時に左へ旋回をしながら爪を上げた際、爪がセンサーの下にわずかに入り込んでおり、センサーのカバーを爪で持ち上げる形となり破損しました。異音がしたものの「見渡しても問題なし」と自己判断し、当日は通常通り業務を継続。終業時にスピードが出なくなってきたため社員に報告し、発覚に至りました。
旋回しながら爪を上げるという「ながら運転(一動作一確認の未実施)」が原因です。
事故のポイント
「一動作一確認」を徹底する(旋回・走行と爪・マスト操作を同時に行わない)
異音などの異常に気づいた際は自己判断せず、速やかに報告する
【特集】フォークリフト「ながら運転」事故事例
「ながら運転=一動作一確認の未実施」による事故は、グロップの他現場でも多く発生しています。代表的なパターンは以下のとおりです。
- バックしながら後方確認 → 柱に衝突
- 走行しながらマストを下降 → シートシャッターに激突
- 走行しながらマストを上昇 → ネステナーを持ち上げて破損
- マストを上げたままバック → エリア境界部の壁面に激突(次の段取りを考えながら作業しており、マストを下げたつもりでバックしてしまった)
事故事例⑤|激突(誘導者未配置によるフォークリフトでの腕挟まれ)

事故概要
運輸業において発生した事故です。
フォークリフトで飲料商品の積み込み作業中、荷物の隙間を無くすためにサイドシフトを使って横に荷物を移動した際、フォークリフトのバックレスト部分と商品の間に、緩衝材を抑えていた運送会社のトラックドライバーの腕を挟んでしまいました。
フォークリフトの可動範囲内に他の作業者を立ち入らせること自体が法令違反ですが、但し書きにある誘導者の配置もされておらず、今回は完全に法令違反の状態でした。緩衝材を人力で抑えるのではなく、縛る・仮留めするといった形で、人に頼らないルール策定が必要です。
事故のポイント
フォークリフトの可動範囲内に他の作業者を立ち入らせない、または誘導者を配置する
緩衝材は人力で抑えるのではなく、縛る・仮留めするなど人に頼らない方法でルールを策定する
【特集】フォークリフトと作業者を接触させないために(関連法令)
安全衛生規則 第151条の7(接触の防止)
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転中の車両系荷役運搬機械等またはその荷に接触することにより危険が生ずるおそれのある箇所に、作業に従事する者を立ち入らせてはなりません。ただし、誘導者を配置し、その者に車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りでないとされています。また、運転者は、この誘導者が行う誘導に従わなければなりません。
送検事例|フォークリフトの誘導員を配置せず書類送検
2017年には、フォークリフトとの接触災害を防止しなかったとして、ある業者と代表取締役が労働安全衛生法第20条違反の疑いで書類送検された事例があります。荷降ろし作業をしていたフォークリフトの運転手が方向転換のためにバックしたところ、付近を歩いていた労働者に激突し、労働者が死亡した事故でした。事業者は誘導員を配置する義務を怠っていたとされています。
今回の事故も、誘導者の配置という法令上の措置が講じられていれば防ぐことができた可能性が高い事例です。
まとめ
2026年5月は、業務災害が再び2桁(14件)となりました。動作の反動・無理な動作による事故が半数を占める一方、ロックアウト・タグアウト未実施による機械由来の挟まれ事故や、誘導者未配置によるフォークリフトの人身事故など、法令で定められた安全対策が徹底されていれば防げた事例が複数発生しています。
今回ご紹介した5件は、いずれも「ルールの策定・周知」と「法令で定められた措置の徹底」という基本に立ち返ることで防止できるものばかりです。自社の現場で同様のリスクがないか、改めて見直してみましょう。
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次回開催のご案内
次回は「6月発生の最新事故事例紹介」をお届けします。今回は無料オンデマンド配信となり、配信期間中はいつでもご視聴いただけます。
- 配信期間:2026年7月14日(火)11:30 〜 7月16日(木)12:00
- 無料オンデマンド配信(期間中いつでも視聴可能)
