【セミナーレポート】明日から変えられる現場での事故事例ウェビナー_2026年5月開催

明日から変えられる現場での事故事例ウェビナー レポート
本ウェビナーは、現場で実際に発生した事故事例をもとに「何が起きたのか」を共有し、 再発防止につながる視点を整理する定期開催コンテンツです。
今回は「発生状況(事故の起こり方)」を中心に取り上げ、 明日から現場で意識できるポイントを解説します。
目次
今月の事故発生傾向
2026年4月は、以下のような傾向が確認されました。
9件の業務災害が発生。今期最小の件数で、繁忙期が落ち着いたことが背景にある
事故の型別では「躓き・転倒」が4件(44.44%)と最多。続いて「動作の反動・無理な動作」が2件発生
業種別では製造業(食品)が44.44%、製造業(食品以外)が33.33%と、製造業で全体の約8割を占めた
就業期間別では1年以上の経験者が44.44%、世代別では50代が33.33%と最多
件数自体は減少した一方で、今期2件目となる機械由来の挟まれ事故が発生しました。典型的な「不安全な状態+不安全な行動」の組み合わせによる事故ですが、それらをカバーするための安全対策が機械に対して実施されていなかったことが背景にあります。安全装置の設置有無・始業前点検について、今一度ご確認をお願いいたします。
事故事例①|挟まれ・巻き込まれ(プレス機作動時の左手親指挟み)

事故概要
化学工業の塗料製造工場において、プレス機でペール缶を潰す作業中、ボタン操作時に誤って左手を置いたまま作動させたため、左手親指を挟んでしまった事例です(20代男性、業務経験6ヶ月、休業見込10日)。
左手親指の不全切断・鈍的損傷という重篤な傷病に至りました。安全装置や機構が無いプレス機を、教育もないまま指を置いた状態で操作したことにより発生した事故です。
事故のポイント
両手押し機構となっていないため、片方の手を入れたまま作業できる状態となっていた
缶の量が普段より多く流れ作業となり注意が散漫になっていた
警告表示などが無く、注意喚起の視覚化が不足していた
初期教育以外の定期教育が未実施だった
類似事故事例にみる、機械挟まれ事故の傾向
弊社の派遣先では、過去にも以下のような類似事故が発生しています。
素材メーカー:床清掃後、しゃがんだ状態から立ち上がろうと機械可動部に手をついた際、機械が閉まるタイミングと重なり指を挟まれ解放骨折
自動車部品工場:アイテムの検査漏れに気付き、送り出しかけたエレベーターを引き戻そうとしたところ、センサーが腕の侵入を感知せず右上腕部を挟まれ骨折
容器製造工場:プラスチック容器をプレスラインへセットする工程で、容器の不備に咄嗟に手を入れた際、プレス機で手を挟む圧挫傷
これらの事例から、機械での挟まれ事故には共通する2つの傾向が見えてきます。
①非定常作業時の発生:「詰まりの除去」「位置の修正」など、通常の運転サイクル外の動作中に、機械可動部に手を入れてしまうケースが散見される
②ヒューマンエラーと環境の複合:「ついうっかり」という操作ミスに対し、それをカバーする物理的なガード(フェールセーフ:失敗しても安全を担保する仕組み)がないことが、重大災害に直結している
「人」ではなく「仕組み」で防ぐ ― 4つのMの強化
事故原因の95%近くは「不安全な状態」と「不安全な行動」の両面に起因します。だからこそ、人の注意力に頼るのではなく、仕組みで防ぐ視点が欠かせません。以下の4つのM(Man/Machine/Media/Management)を強化することが、再発防止の鍵となります。
Man(人間関係)の強化:指差呼称・声出し確認・2人1組の相互確認・ジョブローテーションなど、「間違える人でも事故にならない作業のさせ方」を考える
Machine(機械設備や設備環境)について:インターロック・カバー・両手押しボタン・センサーの設置など、フールプルーフ・フェールセーフに基づいた対策
Media(仕事のやり方や連絡の方法など)について:写真・図入りの作業標準、労災発生箇所の可視化、NG事例の明文化など、わかりやすく迷わないルール作り
Management(安全管理を進める仕組み)の強化:「止めると怒られる」「危険と言うと嫌な顔をされる」など、メンバーが声を上げられない環境を作らないマネジメントを心がける(率先して現場巡回・停止ボタンを意図的に押すなど)
事故事例②|激突(包装機シートカッターへの頭部激突)

事故概要
食料品製造業の現場において、清掃作業終了後の全ライン点検中、包装機の下をくぐり抜けようとした際に、設備の裁断部(シートカッター)に右眉上を激突させた事例です(30代男性、業務経験2年3ヶ月、休業見込1日)。
頭部に打撲と切創を負いました。コンベア下部をくぐるという不安全行動と、突起部に緩衝材などの対策が施されていなかったことの組み合わせで発生した事故です。
事故のポイント
「設備の下をくぐる」という不安全行動を生まない動線設計が必要。より安全に通行できる場所・方法を再検討する
頭部や身体が接触しうる突起部には緩衝材を貼り付けるなど、物理的なリスク低減を実施する
経験年数が長い作業者でも発生する事故であり、「慣れ」による近道行動を防ぐ仕組みが現場に求められる
事故事例③|切れ・こすれ(開梱作業中のハサミによる指切創)

事故概要
食料品製造業の現場において、原料入りの段ボール箱の開梱作業をハサミを用いて行っていた際、誤って右手の人差し指を切ってしまった事例です(30代男性、業務経験1年6ヶ月、休業見込7日)。
本来は開梱専用カッターを使うルールがあったにも関わらず、先方のベテラン社員から「ハサミを使うよう」という誤った教育が現場で行われていたことが直接の原因です。
事故のポイント
道具の用途外使用は、ルールがあっても現場での運用がずれていれば発生する。ルールと運用の整合性確認が必要
各ポジションのリーダーに対して「何が正しいか」が周知され、見える化されているかを点検する
「正しいやり方」が正しく教育されているかの定期的な確認を仕組みに組み込む
事故事例④|躓き・転倒(塗装吊り治具の破損による転落)

事故概要
農機具を製造する工場において、製品の塗装工程で自動塗装機から製品を取り降ろす作業を担当していた際、製品を吊り下げる塗装吊り治具(ハンガー)が折れた事例です(50代男性、業務経験2ヶ月、休業見込1日)。
治具が折れたことに驚いたスタッフが転倒し、足元のスロープを滑り落ち両下肢に挫創を負いました。
塗装用吊り治具の点検が日頃から実施されておらず、また立入禁止エリア内での作業となっていたことが背景にあります。
事故のポイント
立入禁止エリアに物理的に立ち入らせない仕組みを整えることが、危険予知の第一歩
万が一の転落に備えた対策が考えられているかという、リスクアセスメントの視点が重要
吊り治具のような消耗・劣化する器具は、日常点検のサイクルに組み込む必要がある
事故事例⑤|躓き・転倒(濡れた床での滑り転倒による粉砕骨折)

事故概要
食料品製造業の工場内を歩行中、濡れた床で左足が滑って転倒し、その際に右ひざを床に強く打ちつけた事例です(50代男性、業務経験3年、休業見込60日)。
右膝蓋骨の粉砕骨折という重篤な傷病に至りました。ヤスリ加工が施された床であっても、濡れていれば滑るうえ、靴底が摩耗してつるつるになった状態で大きな歩幅で歩行していたことが背景にあります。
事故のポイント
靴底チェックを定期的に行う仕組みを作る。「適正な靴底とはどのような状態か」を見える化し、異常の目線合わせをする
濡れた床は定期的な水切りを徹底し、滑りやすい環境を放置しない
濡れた床面では小さな歩幅での歩行を徹底する。経験年数が長いほど大きな歩幅になりがちなため、改めての周知が必要
労働安全衛生規則544条にもある通り、事業者は作業場の床面について躓き・滑り等の危険のない安全な状態に保持する義務がある
まとめ|件数減少の裏で再発した機械由来の重大事故
2026年4月の業務災害は9件と、今期最小の件数まで減少しました。各業種で繁忙期が落ち着いたことが背景にありますが、件数が減ったからといって油断はできません。今期2件目となる機械由来の挟まれ事故が発生し、20代の若手作業者が左手親指の不全切断という重篤な傷病を負っています。
今回の5事例を振り返ると、共通するのは「不安全な状態」と「不安全な行動」が重なった瞬間に事故が起きているという点です。塗装吊り治具の点検不備、コンベア下部の突起、開梱用カッターのルール逸脱、プレス機の安全機構欠如、濡れた床と摩耗した靴底——いずれも単独要因ではなく、設備・ルール・人の動きが噛み合わずに発生しています。
事故原因の95%近くは「状態」と「行動」の両面に起因します。だからこそ、人の注意力に頼るのではなく、仕組みで防ぐ視点が欠かせません。4つのM(Man/Machine/Media/Management)を強化し、「間違える人でも事故にならない作業のさせ方」を設計していくことが、再発防止の鍵となります。
株式会社グロップでは、労災認定の有無に関わらず 「健康で安全に働けるか」を基準に、 現場ごとの課題に応じた安全指導・パトロール・個別相談を実施しています。
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本ページでご紹介した事故事例は一部です。
投影資料には2026年4月に起きたすべての事故事例が掲載されています。
資料DLページへ※所要時間:1〜2分
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本ウェビナーでご紹介した事故事例について、
「ベトナム語版」に翻訳した
事故事例資料もセットでお送りしております。
現場での外国人労働者の安全教育に、ぜひご活用ください。
次回予告|明日から変えられる現場での事故事例ウェビナー
次回のウェビナーでは、最新の事故事例をもとに、 現場で見落とされがちなリスクと再発防止策を解説します。
・現場で実際に起きた最新事故事例
・事故の背景にある行動・環境要因
・明日から実践できる安全対策のヒント
開催日程:2026年6月9日(火)・6月10日(水)・6月11日(木) 11:30〜12:00
安全パトロールや個別相談も随時受け付けています。
現場の安全対策にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
安全衛生のご相談・お申し込み(無料)
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※所要時間:1〜2分
